診療内容の詳細

ブロック治療対象

ペインクリニック科では整形外科的な関節痛や神経痛・頭痛・肩こり以外にもさまざまな症状・疾患に積極的な治療を行っていますので紹介します。

耳鼻科領域の治療(めまい・ふらつき・(突発性)難聴・耳鳴り)

頚部の交感神経節は3つあり、そのうち最も頭側の神経節(上頚神経節ブロックの図です。針は見えないほど細く(30G)、指で押すことで目的地までの距離を短縮させ、さらにゆっくり圧をかけずに注入することで注射の痛みをほとんど感じないほどにすることができます。この注射により交感神経を麻痺させ、脳幹・延髄への血管を拡張させ、この部への血流を強制的に増加させます。すると内耳神経の血流が増え、めまい・ふらつき・難聴・耳鳴りなどが軽快します。めまいなどは一度の治療で完治することも多いのですが、難聴や耳鳴りは何度も繰り返し治療を行わなければならず、医者にも患者にも根気が必要になります。
 

脳外科・神経内科領域の治療

同様に上記の上頚神経節ブロックにより、脳幹や脳実質の血流量を増やすことができます。よって様々な脳神経障害性の疾患に効果があります。嗅覚障害、視神経障害、味覚障害、顔面神経麻痺、三叉神経痛、嚥下困難などを手術することなくブロックのみで軽快させることができます。このブロックが少しずつ認知度が高まると同時に当院では上頚神経節ブロックを受けるために来院する患者が7~8割となり(2016/12現在)、当院は上頚神経節ブロッククリニックと化しています。

精神科領域の治療

同様に上記の頚部交感神経節ブロックにより睡眠障害が改善される例を数多く経験しました。不安神経症や強迫神経症の患者にもこのブロックは非常に有効で、ブロック施行後1週間近く外出時の恐怖感が消失し、遠出ができたという症例があります。また、いらいらやうつにも効果があり、措置入院が必要であった患者が、現在精神科薬を全て中断しても症状がでない状態にまで改善させることができたという症例を経験しています。治療実績データが集まれば、精神科疾患の治療法が激変する可能性を秘めています。
 

整形外科領域の治療

整形外科領域の疾患では「手術をしなければ治らない」とされる症例が、実は手術をしなくてもブロック注射で十分に治るという実績を10年前から私は多数積み上げてまいりました。その代表格は「腰部脊柱管狭窄症」 です。硬膜外ブロック下図 epi01   また、既に腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた後に症状が悪化し、「これ以上は手術もできません」と断られて治療を放棄された症例もブロックで症状を改善させた例も少なくありません。ただし、そうした難治性の患者を治療するためには、普通にブロックをするだけでは不十分であり、しばし以下のような神経根ブロックも併用する必要がありました。ブロックを併用すれば、整形外科の常識で「治らない」とされるものも「治すことができる」 Lroot01 様々なブロックを併用すれば、整形外科の常識で「治らない」とされるものもブロックのみで「治すことができる」ことを私はこの10年間、実績を重ね、証明してまいりました。同様に手根管症候群、ドゥケルバン、肘部管症候群、ばね指なども全例をステロイド入りの注射で治癒させることに成功しており、私はこれらの疾患で手術が必要になった症例は15年間0例でした。ただし、ばね指の注射は手のひら側から行うと「耐え難く極めて痛い」注射となり、患者がトラウマとして注射恐怖症になる例を何例も見てきました。よって再発の場合は手術を選ぶ患者が出現してしまうわけです。私はこのばね指の注射を「ほとんど痛くない」状態で実施できます(以下の図)。 Bane01 この注射法であれば患者は注射をトラウマ体験とすることがないため、ばね指が再発すれば再び注射を打ちに来院しますので、手術が必要となることは全くありません。この注射にはケナコルトを5mg使用。ケナコルトは5mgという微量でも、浮腫や炎症を改善させる効果が極めて高く、一度注射をすれば数ヶ月以上再発しないのが普通です。また、一度の注射でその後全くばね指とならない患者も少なくありません。

変形性膝(股)関節症の手術回避

私は15年以上前からステロイドを安全に関節内で使用する方法を研究してまいりました。「どのくらいまで微量にしても効果が出るか」「どのくらい連続で使用すると副作用が出るか」「どのくらいの間隔をあけると安全か?」「どのくらいの生活なら再発するのか?」を徹底的に研究してきたということです。そしてステロイド使用で関節は壊れやすいという説が真実なのか?を検証しました。その結果、ステロイドの適量使用では関節の寿命が延び、そして手術を回避できることが判明しました。ここで詳細は述べませんが、適切な関節ブロックは高齢者が手術することなく、元気な老後を送るために極めて重要なポジションにあることを述べておきます。適切な注射のガイドラインをすでに完成させました。
 

肩こり・頭痛・肩甲帯のこり

ようやく最近になり、肩こりは筋線維の痛みではなく、神経が痛みとこりを誘発していることが言われ始めました。しかしながらペインクリニックでは昔から肩こりは「神経痛の一種」であることが判明しており、「治らない頑固な肩こり」を星状神経節ブロックで 治してきた歴史があります。一方私はブラインドで行う頚部神経根ブロックを開発し、5年以上も前から肩こり・頭痛・肩甲帯のこりの治療には神経根ブロックを用いています。 Croot01 胸鎖乳突筋を前方に押し出し、C6の横突起を強く指圧し、そのやや上部を通る神経根にブロックを行っている図。このブロックにより肩こりを完治に近い状態にすることが可能です(再燃もありますが)。頭痛の場合はC2、C3に神経根ブロックを行います。また、四十肩・五十肩で肩峰下滑液包に注射をしても全く痛みが改善しない症例があります。その場合、肩の痛みは頚椎由来であることが多く、このような神経根ブロックを行わなければ治りません。こうなると整形外科では手に負えません。

泌尿器科領域の治療(過活動性膀胱)

過活動性膀胱のほとんどの原因が神経由来であり、腰椎・仙椎の疾患が原因であることを私は5年以上前からつきとめています。その理由は実際に仙骨硬膜外ブロックを行い、数え切れないほどの患者の過活動性膀胱を完治させてきた実績があるからです。以下の図のように尾骨のやや上にある仙骨裂孔からブロックを行えば、驚くほど頻尿が治ります。実際にブロックを行えば、それが嘘でないことがわかるでしょう。 caudal01

上頚神経節ブロックの威力

上頚神経節ブロックの認知度が少しずつ上がっていくと同時に、当院には全国からさらなる難治性、さらなる重症の患者が集まるようになりました。飛行機で来院した患者にブロックをして「効果ありませんでした」で済まされるわけがありません。しかしながらブロックはゴルフのようなもので、狙ってもホールインワンを出せるものではなく、時にアプローチがうまくいかないこともあります。しかし、遠方から来院する方にはホールインワンを100%出さなければならず、その精神的なプレッシャーは極めて重いものです。 その重さと、上頚神経節という「一つ間違えれば合併症を作ってしまう危険地帯」へのアプローチということもあり、毎日毎日腕を磨き改良に改良を重ねなければならない状態で医療に従事してきました。 その成果として上頚神経節ブロックの精度と安全性が日々向上し、1年前とは比べ物にならないほどの治療出力を出せるようになりました。もちろん、治療出力だけでなく安全性も高くなっています。 臨時に休診日に診療所を開けることもしばしばありますが、その日に来院する患者は100%上頚神経節ブロックの希望者だったりもします。患者からの要求度が極めて高いということです。今のところ奈良県に上頚神経節ブロックを伝授した医師がおりますので、近畿にお住まいの方には紹介さしあげます。しかし、日々私の上頚神経節ブロックの腕が上がっている現状を思うと、あまり多くの医者には伝授できないという壁にぶつかります。伝授しても私と同じ治療出力を出せないでしょうし、合併症を作ってしまう可能性も高まるからです。 それでも今後は上頚神経節ブロックの講習会などを開き、一定以上の効果と安全性をキープできる医師たちを全国に排出していきたいと考えています(2016年12月現在)。