ふらつきの原因としては前庭神経の不調、自律神経失調による血圧不安定、大脳基底核由来のパーキンソニズム、小脳系、延髄の錐体路系など多種多様であり原因を調べることも治療することも容易ではない。当院では原因によらず上頚神経節ブロックを用いる。その理由は上記の全ての原因が上頚神経節ブロックの適用範囲に含まれるからである。
全9例
全治1例 著効3例 改善2例 1回中断3例
全治は7割以上の改善 著効は5割以上の改善 改善は5割未満の改善
考察
原因が何であれふらつきの原因箇所は首よりも上部にある。よって頭頸部の血流を選択的に増進させる上頚神経節ブロックは非常に効果が高い。中断の3例を除けば有効率は100%で、中断3例が全て無効としても66.7%の有効率を示す(実際はその間の有効率と思われる)。
高齢者のふらつきは、すなわち大腿骨頸部骨折・圧迫骨折などの原因となりうかつに外出できなくなる。よってこれを改善させることは寿命を延ばすことに密接な関係がある。ふらつきは街を歩くのも恐怖となるため、この症状が出現すると家にこもりきりになる傾向がある。生活レベルを著しく低下させる症状なだけに早めの治療をしたほうがよい。