星状神経節ブロックのさらに上位のブロック注射であり、人間の体の中で最上位の交感神経節ブロックです。10年前に私の友人の副鼻腔炎由来の頭痛を何としてでも治そうと工夫をして編み出したブロック注射です。現在では超音波診断装置を用いて極めて精密にブロックする本ブロック注射へと完成させました。
本ブロックは大脳・小脳・延髄・脳神経のあらゆる難治性疾患に有効であることをこのサイトの治療実績に掲載してあります。私が治療した症例数としては1位:突発性難聴、2位:パーキンソン症候群、3位:三叉神経痛、4位:精神疾患、5位:線維筋痛、6位:ALSです。私の医院に訪れる患者の3分の1が上頚神経節ブロックを受けに来られる患者です。
星状神経節ブロック(SGB)としばしば効果比較されますが、私のところへは突発性難聴の治療において、「SGBを1日2回×2週間、行った後に、回復が不十分だった突発性難聴の患者」が来院し、その後に上頚神経節ブロックを受けて改善していく例を数多く経験しています(実績データ)。SGBよりも効果は高いと思われます。
SGBは若杉先生が田中角栄の顔面神経麻痺を治したことで一躍有名になった注射ですが、その上を行くブロック注射ですから魅力的です。
私は本ブロックを年間約2000本(H30年現在)注射していますが、超音波診断装置で精密に行うためか、出血・感染・神経損傷など合併症が0件です。注射の痛みはSGBの経験者(患者)に「痛さの比較」をしていただいていますが、私の注射は「ほとんど痛くない」と大多数の方が言及し「鍼灸の針よりも痛くない」と表現されます。突発性難聴の治療患者はすでにSGBや鍼灸の経験者であることが多いので「痛さの比較」ができるのです。
上頚神経節ブロックは脳に直接影響を及ぼす注射では決してありません。交感神経をブロックすることで脳内のあらゆる血管の平滑筋を緩め、そのおかげで血管が拡張して脳内の血流が上がるというそれだけの注射です。
作用時間はせいぜい半日ですが一度でも脳内の血流が増えている状態を作ってあげると脳神経細胞が元気を取り戻すという仕組みです。元気が出るなら脳内のあらゆる病気に治療効果が期待できるという単純明快な作用機序です。血流の増加が実際にどれほどの治療力があるか?は突発性難聴の治療成績を見れば一目瞭然です。突発性難聴の治療成績はしっかりした数字で出せるのであいまいではないからです(最も新しいデータはこちら)。
さて、上頚神経節ブロックは突発性難聴の治療成績が示すように驚異的な治療成績を出せる希望の星なのですが、突発性難聴に効果があるということは、他の脳神経由来の様々な病気にも効果があると容易に想像できます。例えば眼科的な病気、例えば三叉神経痛、例えば記憶障害、例えば精神疾患などです。
すなわち、脳外科、精神科、眼科、耳鼻科、神経内科の全ての科の疾患に大きな効果を生むはずの治療法です。それがなぜ医師たちの間に爆発的に広まらないのかという単純な疑問を皆さまは持つべきです。