腰椎椎間板ヘルニアの治療成績2017

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の厳密な境界はない。ここでは間欠性跛行の無いものを腰椎椎間板ヘルニアとしている。本症例は難治性とそうでないものを分けている。難治性はこれまで他の病院であらゆるブロックを受けても症状が軽快しなかったもの、手術を受けても改善しなかったもの、手術後に症状が徐々に悪化してきたものとした。非難治性はそれ以外。


腰椎椎間板ヘルニア(非難治)

全22例

全治9例 著効12例 改善4例 不明4例


全治は通院不要なレベルに改善。 著効はブロックで痛みが半分以下になる状態が1週間以上続く。 改善はそれ以外。 不明は1回で終了したため結果がわからないもの。


考察

腰椎椎間板ヘルニアの有効率はほぼ100%であり4例は不明だが、おそらく無効例はない。この有効率はおそらく他の施設にはマネができない。その理由は強度変形腰椎にも、ねじれや側弯の強い腰椎にも確実に硬膜外腔に薬液を入れることのできる技術によると思われる。硬膜外ブロックは偽のスペースに薬剤が入ってしまうことがあり、また髄内注射になることも少なくない。しかし100%に近い確率で的確にブロックを成功させることができれば、有効率は高くなる。有効率100%は的確に入れることができている率に等しいと見てほぼ間違いない。


腰椎椎間板ヘルニア(難治性)

難治性とはすでに他の病院で手術やブロックを受けてきて、それでも症状が全く軽快しない、または悪化してしまっているものを言う。言わば現代医学・名医と言われる脊椎外科医、名のあるペイン科のブロックにさえ見放された腰痛・下肢痛症例である。当院には難治性椎間板ヘルニアが19例。難治性腰部脊柱管狭窄症が7例。重度の腰椎変形のため技術的にブロックが困難という症例7例が来院しており腰痛・下肢痛の最後の砦的な役割を果たしている。


全19例

全治3例 著効7例 改善4例 無効2例 1回で中断3例

全治とは症状が3割以下になる状態が1か月以上継続 著効は5割以下の症状が1週間以上継続、改善はそれ以外


考察

中断3例を無効と判断したとしても、有効率は14/19(73.7%)と極めて高い治療成績を誇る。なぜ「他の名医たちが見放した難治性疾患」にこれほどの成績を出せるのかについては秘密である(治療に様々な創意工夫を行うため)。


名医と言われる脊椎外科医に「これ以上は何もできません」と宣言された症例、評判のペインクリニック医師たちに様々なブロックを行っても改善しない難治性の19例に対し、7割以上の有効率を出し、しかも全治と著効が過半数を占めるというのは奇蹟的な治療成績と言ってよいだろう。


本症例では手術を受けた者が大半であるが、これらの症例が最初から私の元に来院していればそもそも手術が必要であったのか?という疑問と波紋を投げかける。しかし、一般的な保険治療では、やはりこれほどの治療成績を出すことができないと思われ、現医学の腰痛に関する治療レベルの問題に帰依する。