傍神経根ブロック
傍神経根ブロックとは通常の神経根ブロックをブラインドタッチで行う手技です。私が独自に開発したブロックですので他の医師にはできません(ただし、私と同じように独自にこのブロックを開発して行っている医師が日本中を探せばどこかにいます)。神経根(ルート)ブロックは各種疼痛治療にもっとも効果的と言われているブロック注射ですが、現保険医療ではエックス線透視下に造影剤を使用して、神経を描出しながら行うことが義務付けられており、外来で簡単に行えない仕様になっています。そこで私は神経根に直接針を刺すことをやめ、造影剤を用いずブラインドタッチで神経根のそばに薬液を注入する方法を開発しました。それが傍神経根ブロックです。
圧倒的なコストパフォーマンスを誇る
傍神経根ブロックは椅子に座ったままで行います。準備は何もいりません。レントゲン透視も使いません。それほど気軽に行えます。一方神経根ブロックは準備も設備も必要で、患者が負うことになるリスクや苦痛は莫大です。神経根ブロックがいかに効果がある最終兵器と言えども、「気軽にはできる注射」ではありません。特に頚神経への神経根ブロック注射は出血や神経損傷のリスクが腰部に行うよりもはるかに高いので私は絶対にお勧めしません。
ところが、傍神経根ブロックは神経根に直接針を刺さず、神経根のやや末梢という浅い部分に注射しますからリスクや苦痛がほぼありません。そして、椅子に座って1分で終わるのでとても簡易的です。
簡易的なのに効果が神経根ブロック並みに効果が高かったとしたら、神経根ブロックなど不要!となります。まさに頸椎への傍神経根ブロックは「本物の神経根ブロックをお払い箱にできる」レベルの効果があります。神経根ブロックは頸椎の手術を回避できるほどの治療効果を発揮しますが、同様に傍神経根ブロックも頸椎の手術を回避できるレベルの効果があり、かつ簡易的でリスクが少なく、何度でも治療ができるというコストパフォーマンスがあります。
傍神経根ブロックの人気は高い
私の行うブロック治療の中で人気の高い順に並べると、1位:上頚神経節ブロック、2位:傍神経根ブロック、3位:腰部硬膜外ブロック、4位:腰部神経根ブロックと続きます。本ブロックは2位であり、希望する患者は非常に多いと言えます。それは通常の神経根ブロックとは異なり、痛くないからです。針は30Gを使用しており、髪の毛のごとく細く、そして指でしっかり患部を指圧することで刺入距離を短くし、組織損傷を最小にできるからです。
肩こりや肩甲骨周囲の痛み、上肢の痛みやしびれ、などに強力に効果を発揮します。「強力」とは「何年間もどこの病院に行ってもマッサージ店に行っても鍼灸をしてもらっても全く改善しなかったレベルの難治性の症状を改善させることのできるレベル」を意味します。上肢帯に常に強い痛みがある人は、自殺したいほどに苦しみます。そして服薬しても痛みがとれない場合、手術を勧められるのですが、手術では治る保証がありません。そこで本ブロックが選ばれるわけです。
排他的ブロック
傍神経根ブロックは全ての治療に対して排他的です。つまり、他のどんな治療も本ブロックのコストパフォーマンスにおそらく勝てません。理由は「効き目」でだけではなく、「安全性と手軽さ」です。手術をも回避できる症例がかなりの割合で存在すると私は推測しています。なぜなら実際に私のところへ来院するほとんどの患者を本ブロックで改善させ、かつ手術を回避させているからです。特に上肢の痛み、腫れ、しびれなど症状は、これまで牽引しようがマッサージしようが何をやっても改善させることができませんでした。それを改善させる方法の筆頭だからです。鍼灸やマッサージなどの代替医療も含めてライバルがいないほどの威力があります。よって本ブロックは排他的であり医療界の誰にとっても都合の悪いブロック注射と言えるでしょう。本ブロック注射が保険で受けられる日が来ることを密かに望んでおります。
ブロック治療の最終手段としての本ブロックの位置付け
腰椎疾患で体が動かせなくなると、側臥位も伏臥位もとれなくなります。ブロックを行うには側臥位か伏臥位にならなければなりませんので、それができなければブロック注射自体がお手上げとなります。
私はそうした患者を椅子に座らせたままブロックを行います。私は椅子に座らせたまま硬膜外ブロックをすることもできますが、脊椎固定術後の患者には硬膜外ブロックも不可能ですのでこの傍神経根ブロック以外に効果的なブロックが残されていません。そこで私はブラインドで棘突起を目印としてカテラン針を用いて腰部に傍神経根ブロックを行います。これにより寝たきり寸前の高齢者をすでに何人も救っています。安全性も高く、文句なしのトップクラスのコストパフォーマンスがあります。しかし、問題は料金設定であり、そこが私の悩みの種です。