腱鞘内注射

腱鞘内注射

 

腱鞘炎・腱の付着部炎、アキレス腱炎、手の腱炎などにはステロイドと局麻薬を混合した注射が特効となります。手術も回避できますし、スポーツ選手の腱炎も治せますので「驚異的な治療効果」を発揮します。しかし、驚異的な完治となるには様々な障害があることが事実で、障害を正しく理解しないうちは本注射を受けるべきではないと断言します。

障害は技術的、経済的、合併症、社会的、の4つを理解しなければなりません。


  • 技術的な障害 腱鞘内に薬剤を注射することは医師にとって極めて難しいことです。腱鞘の薄さは1㎜もありません。その膜に覆われた内部に注射をし、かつ腱には注入しないというような神技を行える医師が存在しません。成功したか否かも調べる方法がありません。腱内に注射をしてしまえばさらに腱が腫れてしまって摩擦が起こり悪化します。また、テニス肘など、腱の付着部炎では腱内に薬を入れると腱が破損します。そうならないようにするためには寸止めの技術を持たなければなりませんが、そうした技能を持つ医師がまず見当たりません。
  • 経済的障害 経済的には腱鞘炎は270円という不当に安い値段設定となっており、これは事実上、国が腱鞘内注射を認めてないことを意味します。注射を行えば赤字となるためこれはほとんど「ただ同然」です。ただ同然と言うのは270円も0円もほぼ同じという意味であり、国はこの治療に支払いを拒否していることとほぼ同意となります。ただ同然の設定かつ上記のように難易度の高い注射ですのでこの注射を行う側にとっては「害になる治療」という位置づけです。よって腱鞘内注射の腕を磨こうという医師は皆無となり、その結果、「治療は手術で」という「整形外科医にとって都合の良い方向」となります。
  • 合併症の問題 腱鞘内注射は難易度が高いため、医師が皮下注射のようなイメージで気安く行うと様々な合併症を起こします。腱内に入れれば腱断裂のリスクが上がると思われます。しばしば使うステロイドですが、不適切に多い分量を用いると局所に炎症を起し、腱を弱くしてしまうなどの副作用があります。これらの合併症を防ぐことができる技能を持つ医師にしか、ステロイド使用は避けていただきたいのですが、技能のない医師が用いて事故を起こします。ステロイドを用いるのであれば、使用量・期間・運動指導をセットにして厳重に管理しなければなりませんが、270円では管理がずさんになります。
  • 社会的問題 腱鞘炎、腱炎は自己白血球を注射する方法、手術法などが現医学では流行しています。どれも270円と比較すると桁が2つ以上高くなります。しかし、それらの値段の高く、労力のかかる治療と比較して、ケナコルトを正しく用いた正しい腱鞘内注射では治療成績がはるかによいものとなります。この事実はタブーであり一般的には知られては困ることです。医学界としては「はるかによい治療成績」は社会から抹消する必要があり、ケナコルトを乱暴に用いて合併症を作ってしまった論文(ケナコルトは副作用が強く、これを使用する医師を悪とする論文)が毎年何百と世界中に挙げられる結果となっています。それほどののしられているケナコルトですが、世界ではこれを使用する医師が絶えません。それには理由があります。ケナコルトと腱断裂の考察・研究はこちら

いずれにせよ、ケナコルトの腱鞘内注射は医学界で認めないでおこうという動きがあり、そうした社会勢力が障壁となっています。こうした実情の中、私は腱鞘内注射を自費で行い、良好な治療実績を上げ続けています。合併症はありません。


腱鞘内注射は難しい

上記のように4つの障壁があるため腱鞘内注射を行う医師は年々減少しています。技術が難しく、治療後の管理、薬剤の適量研究、社会的圧力、そして経済の問題を全て越えなければ実用性のない注射です。逆に言うと、これらを超えられる技量が医師にあるのなら、効果てきめんの治療法になります。